Event 07
2026/06/02 開催
Correspondences #1『Waiting|まつこと』

展覧会開催のお知らせ
ゴールドウインは、「人を挑戦に導き、人と自然の可能性をひろげる」というパーパスを掲げています。ここでいう自然とは、人間の外側にある資源として利用し尽くす対象でも、不可侵のものとして遠ざける対象でもありません。人と自然が切り離されず、互いに関わり合いながら存在している世界を、どのように捉え直せるのか。その問いは、これからのものづくりや実践を考えるうえでも重要な視点になるはずです。
人類学者ティム・インゴルドは、生を、世界と応答しつづける過程そのものとして捉え、そのあり方を「Correspondence(コレスポンデンス)」という言葉で示しました。それは、あらかじめ分かれたもの同士の作用ではなく、関わりのなかで互いの存在がかたちづくられていく状態を捉えるための視座です。
Goldwin Field Research Lab. は、人と自然のあいだに立ち上がる知覚や実践を、リサーチと表現の両面から探っていきます。本企画は、その最初の試みとして、「Correspondence(コレスポンデンス)」という視点を手がかりに、人と自然の関係をあらためて考えるものです。Goldwin 京都店では、建築を起点に、社会・文化の文脈、制度、メディアと接続しながら、領域横断的なプロジェクトを展開するコレクティブ「SUNAKI」とKazumichi Komatsu氏による展示を開催し、それぞれの思考と制作を通して、この問いをひらいていきます。
◾️SUNAKI × Kazumichi Komatsu Exhibition『Waiting|まつこと』
期間:6月1日(月)-6月16日(火) 12:00-19:00 ※水曜定休
会場:Goldwin kyoto(京都府京都市中京区坂井町460)
「インゴルドのCorrespondenceを考えるとき、原始的な技術を紹介する本のどこかにあった一節が思い出される。人間は、罠に獲物がかかるのを待つなかで時間を見出した、という話。罠は、動物を捕らえるための道具である以前に、その動きや習性、通り道、かすかな気配を読み取りながら、環境の中に置かれ機能する。追う、投げる、打つといった身振りは、ここでは直接動物に向けられない。それらは、草むらや道の端に残されたひとつの形へと置き換えられる。その形は、ただちに結果を生むわけではない。何も起きない透明な時間のなかで、静かに作動しつづける。
本展《Waiting | まつこと》では、待つことを通して、世界との応答が時間のなかで少しずつかたちを成していく様子を捉え直したいと思います。Kazumichi Komatsuの《Big Wave Coming》では、LEDの電球がついた全身スーツをまとった身体が、夜明け前の海辺に立ち続けます。人工の光は暗闇の中で一時的に輪郭を持ちますが、夜明けとともに自然の光に静かに包み込まれていきます。ここで起きているのは、自然をただ眺めることではなく、光の変化の中に身体を置き、環境との関係が変わっていく時間を受け取ることです。
Goldwin Field Research Lab.のフィールドレコーディングをもとにKomatsuが構成した音響は、異なる場所、異なる時間に録音された環境の断片を、会場のなかに重ね合わせます。SUNAKIは、Komatsuとの選書をもとに、テキストだけの対話劇を制作しています。会場で本を読み、音を聴き、映像を見ることは、それぞれ別の体験でありながら、同じ問いへとつながっています。目の前にあるものをすぐに意味づけるのではなく、場所、時間、身体、自然のあいだにある関係が、少しずつ立ち上がるのを待つこと。そのような経験を、本展はひらこうとしています。
Correspondences #1 としての本展は、身体、光、音、書物、場所、そして自然が、互いに応答しながら、ひとつの状態として変化していく場をつくろうとする試みです。 」(砂山太一)
◾️アーティストプロフィール
SUNAKI
建築を起点に、現代美術、デザイン、メディア、テクノロジー、社会制度を横断しながら活動するコレクティブ。建築や都市に残された記録や出来事を読み解くリサーチ、現代美術・建築・情報技術を横断するコンセプトの構築、コンピュテーショナルデザインやデジタル・ファブリケーションによる制作を重ね合わせ、プロジェクトごとに思考と制作の関係を編成している。建築を固定された完成物ではなく、環境、時間、身体、社会的条件のあいだで変化し続ける「状態(State)」として捉え、場所や出来事に固有の状態を、他者と共有可能な経験へと編集する。
Kazumichi Komatsu
1992年高知県生まれ。京都市在住。音楽家、美術家、DJ。
これまでに、angoisse(バルセロナ)、BUS editions(ロンドン)、flau(東京)、Manila Institute(ニューヨーク)、psalmus diuersae(サンフランシスコ)、REST NOW!(ミラノ)等、様々なレーベルやパブリッシャーにより複数の名義で膨大な数の音源をリリースしている。音や光といった振動/波を主な素材と看做し、情報の伝達や保存の物質的・心理的な距離の経験を扱う作品制作・研究を行う。
◾️イベント
6月14日(日)19:00 より、「SUNAKI」の砂山太一氏と Komatsu Kazumichi氏によるトークセッションを開催。
展示の背景にある思想や、両氏の制作プロセスを手がかりに、多様な存在のあいだに生まれる応答のあり方を探ります。ぜひお気軽にご来場ください。
※トークセッションは事前予約制です。下記のリンクよりお申し込みください。

